2016/3/13 名古屋ウィメンズマラソン
清田が初マラソン歴代5位の2時間24分32秒
スタミナ武器に、注目のスズキ浜松AC勢の先陣


 清田真央(スズキ浜松AC)の次の言葉に驚かされた。
「走り終わってからも脚というより、肩の周辺の腕が疲れている感じで、ゴールしてまだまだ行けたかな、と感じました。心残りというか、少し悔しい部分が大きいです」
 初マラソン歴代5位の2時間24分32秒で4位(日本人3位)の好結果も、力を出し切っていない可能性も示唆した。

 1万mでも31分台を持つが、その特徴はスタミナと言って間違いない。練習では12月前半の合宿で50km走を含め、14日間で560kmを走った。
「50kmは3時間23分かけて行いました。悪くても、最後まで走りきるつもりでスタートしましたが、里内(正幸)コーチがつねに声をかけてくれて、後半を上げて終わることができました。距離への不安が一気になくなり、30kmは軽い気持ちで走ることができましたし、40km走もそんなに長いと感じずに行けるようになりました」

 展望記事でも紹介したように、里内門下の実質的な初マラソン。2010年にスズキ浜松ACとなり、実業団駅伝に出場しないものの、世界で戦うことをより鮮明に意識するようになった。清田、牧川恵莉らはスカウトの段階から、代表になることが目標だった。種目としてはマラソンをメインに考えた。
 なかでも、清田のマラソンへの思いは早い段階で固まった。
「最初からマラソンで狙って行くと決めて、練習を積み重ねてきました。チームの中で先陣を切ってマラソンに出場して、チームのみんなにプレッシャーを与え、これからもみんなで頑張って、お互いにつなげられるようにしていきたい」
 プレッシャーではなく刺激の間違いでは? と確認すると、清田も一度は訂正したが、お互いにプレッシャーを与え合うほど切磋琢磨している意識があるのかもしれない。

 牧川とは同期入社だが、丸亀ハーフで優勝するなど個人で結果を出したのは牧川が先だった。また、途中入社の安藤友香も同学年で、全国都道府県対抗女子駅伝で区間賞を獲得するなどしている。その点、清田は“1位が取れない選手”だった。
 牧川も安藤も、最終的にはマラソンが目標で、故障がなければ牧川が先に、大阪国際女子でマラソンデビューする予定だった。
 清田は中京大中京高出身ということで、名古屋ウィメンズを初マラソンに選んだ。結果的に先陣を切る形となったが、沿道で応援した牧川からは「私が最初の優勝者になります」というメールが里内コーチに届いたという。

 清田は今回のマラソンの意味を、次のように話す。
「2人はタイトルを取っているのに、自分は上位には入っても勝ちきれない。置いて行かれている焦りも少し感じていましたが、これでマラソンでは、2人よりも先を走っていることになります。マラソンでは、強い自分でいたい」
 注目のスズキ浜松AC勢が、また新たなスタートを切った。


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